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第1回認定講習会を開催しました

更新日:4月2日

2020年11月1日(日)、熊本城ホールにて「臨床歯科麻酔管理指導医・臨床歯科麻酔認定歯科衛生士 第1回認定講習会」を開催いたしました。

歯科医師と歯科衛生士合わせて、103名もの方に受講いただきました。


当日の様子を少しだけご紹介いたします。



103名もの方に受講いただきました


歯科関連法令を担当する、坂元代表理事

歯科麻酔学を担当する、有働理事


歯科麻酔学を担当する、田尻理事


歯科麻酔学を担当する、矢毛石理事



~歯科衛生士は麻酔できるのか?~

おそらく、この記事をご覧いただいている方の大半はここに興味がおありでしょう。

代表理事である坂元が受け持つ歯科関連法令の講義にて、その答えを明らかにいたしました。受講者からいただいたアンケートを拝見していて感じますが、この講義内容に多くの方が感銘を受けたようです。

歯科衛生士が日本でどのようにして誕生し、どのような歴史をたどってきたのか。歴史を知ることで、今が鮮明に見えてきます。自分たちの関わる業界の歴史を深く知ることはとても大切なことです。

歯科業界はどこで法律の解釈を間違えてしまったのか、社会背景を交えて解説いたしました。

間違えてしまった過去を嘆くのではなくて、どこで間違えたのかを正しく把握し、未来を軌道修正することこそが必要です。

『未来は自分たちの力で掴み取るんだ』

103名の受講者には、私たちがこの講習会に込めた想いがきっと伝わったはずです。



実習用チョーキングチャーリーで窒息の対応法を学びます

実習用リトルアンでユニット上を想定した心肺蘇生法を学びます



















~麻酔という行為だけを切り取っても本質は見えてこない~

歯科衛生士による麻酔の是非が争点となりがちですが、特定の行為の名を挙げてその是非を問うことにはあまり意味がありません。


例えば、臨床経験が30年以上のベテラン歯科医師と、卒後1年目の歯科医師では、できることは違います。同じように、数十年の臨床経験があり知識や技術を十分に持った歯科衛生士と、養成学校を卒業したばかりの歯科衛生士では、できることは違います。


にもかかわらず、「歯科衛生士」という職業で一括りにし、これはできる、これはできないと線引きすることは本当に正しいのでしょうか?


それは、歯科衛生士の可能性を潰してしまうことにはならないでしょうか?

歯科衛生士という職業ではなく、歯科衛生士として生きる「個」をもっとしっかりと見るべきです。


その方の知識・技術・判断力・コミュニケーション能力・仕事への価値観や考え方などを総合的に見て、歯科医師が個別判断し指示を下すべきです。


麻酔に限らず、その「診療補助」を任せるに値する歯科衛生士かどうかを判断することは、指示者である歯科医師の責任です。


では、診療補助の一つである麻酔を任せるに値する歯科衛生士となるためには、どんな知識や技術が必要でしょうか?

歯科衛生士による麻酔を可能とするための一部要件をクリアすべく、理事の有働・田尻・矢毛石の3名による歯科麻酔学の講義が行われました。


麻酔の手技に直接かかわる知識と技術の習得はもちろんのこと、麻酔を行うのであれば偶発症への対応方法は必ず習得しなければなりません。

むしろ、麻酔をする・しないにかかわらず、歯科衛生士であるならば必ず習得しておかなければならないことです。

実習では、実際の臨床に則した救急対応を学ぶことができます。

①アナフィラキシーショックについて

・アナフィラキシーショックと血管迷走神経反射の鑑別ができますか?

・アナフィラキシーの症状を確認後、何分以内にどう対処したらいいか分かりますか?

・アナフィラキシーに対処するための救急セットを準備していますか?

・歯科医師が近くにいないとき、アナフィラキシーに対処できますか?

②AEDを使用した心肺蘇生法について

・AEDの使い方は分かっていても、いざとなったときに素早く動けますか?

・冷静に周りを見回し、周囲の方へ正しく指示を出し連携が取れますか?

・床に寝かせた模型でしか練習をしたことのない方はいませんか?

・床ではなくユニット上で患者が心停止したら、どうしますか?

③窒息の対応法について

・窒息した患者への初動対応はどうするべきか分かりますか?

・腹部突上法や背部叩打法の正しいやり方は分かりますか?

・窒息の対応を実際に練習したことはありますか?

麻酔も含め、医療行為には大きな責任が伴います。

歯科衛生士として医療に携わる以上、その責任をしっかりと受け止めて診療に当たらなければなりません。


「権利」と「責任」は、常に表裏一体です。

歯科衛生士に麻酔をさせて医療事故が起きたらどうするのか?という意見を聞きます。

では、印象採得やSRPを歯科衛生士が行い、医療事故が起きたらどうするのでしょうか?


すべての診療補助には医療事故の可能性があります。

医療事故を避けるために、歯科衛生士に診療補助の一切を任せず、予防処置と歯科保健指導だけをさせておけばよいということでしょうか?

歯科衛生士には、責任のある仕事など任せられないということでしょうか?

歯科衛生士という職業ではなく、歯科衛生士として生きる「個」をもっとしっかりと見るべきです。


印象採得をまだ満足にできない歯科衛生士もいれば、麻酔ができるだけの知識と技術を有する歯科衛生士もいます。

責任をしっかりと受け止め、覚悟を持って歯科医療に従事している歯科衛生士もたくさんいるのです。


そういった方々の矜持を蔑ろにして、一括りに扱うのはやめてほしいと、そう思います。



私たちは、歯科衛生士が持つ無限の可能性を信じています。






主催者集合写真

たくさんの方に支えられ、今日を迎えられたことを嬉しく思います

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最後に、受講者からいただいたアンケートの一部をご紹介いたします。

【歯科衛生士】


■今まで曖昧だった法律を理解することができて、より歯科衛生士としての自覚と責任を持って日々の仕事に取り組もうと思えました。


■これからの診療で活躍できる幅が広がるのは楽しみであり、歯科衛生士はとても責任のある素晴らしい仕事なのだとあらためて感じました。


■講習内容が、歯科衛生士が浸潤麻酔を行うことをメインとしていると思い、受講を控えたスタッフもいたのですが、日常の診療の中で必要なBLSの知識や蘇生法の実習がありとてもためになりました。次回機会があれば、本日受講できなかったスタッフも是非参加させたいと思いました。


■色々な実習は、職場だけではなく普段の生活でも有効的なものだったので、受講して良かったと思いました。麻酔や、何か起こってからの対処法など、いかに自分が無知だったのかということも認識できて良かったです。


■AED使用時など、歯科に特化したアドバイスをいただけて、とても参考になりました。


■救急時の対応を確認できたことが良かったです。再度ユニットを使用してシミュレーションしてみます。歯科衛生士として社会にもっと貢献できるように、知識・技術を向上させて、業務の幅を広げていきたいと思いました。

【歯科医師】


■歯科界の未来のために、素晴らしい第一歩をありがとうございました。


■「法に基づいた医療」という考えは、当たり前のようで、まったく考えていないことだった。歯科衛生士は麻酔行為に限らず、多様な可能性を内包しているということを知ることができ大変良かった。


■今後、全国にこの運動が広がり、歯科衛生士の地位向上が進むことを切に願います。


■今回受講させていただいて、歯科医師と歯科衛生士がより協力して、チームとして歯科医療に携わっていくことができそうだと感じた。AEDの操作方法、救急に対しての取り組みを早急に院内で確認しなければならないと感じた。今回一緒に参加したスタッフと協力してその形を作っていこうと思う。


■今まで勝手な思い込みで歯科衛生士の業務範囲を狭めていたことに気づくことができた。口腔の健康ひいては全身の健康に多大に貢献できる歯科衛生士のやりがいを高めていけることが楽しみである。


■とても素晴らしい取り組みです。浸麻を歯科衛生士がする・しないではなく、今後の歯科医療を変えていくために必要な内容だと思います。ものすごく心に響く内容でした。素晴らしいセミナーを受講させていただきありがとうございました。

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★今後の講習会情報はこちら★

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